名古屋地方裁判所 平成8年(わ)1442号 判決 1996年12月20日
被告人
氏名
佐原まさ子
年齢
昭和一〇年九月五日生
本籍
愛知県豊橋市岩屋町字岩屋下六二番地の一
住居
同市同町字岩屋下六二番地の七九
職業
会社役員
検察官
川北哲義
弁護人(私選)
中尾成
主文
被告人を懲役一〇か月及び罰金一二〇〇万円に処する。
右罰金を全額納めることができないときは、未納分につき一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間懲役刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
被告人は、昭和五一年から、愛知県豊橋市岩屋町字岩屋下六二番地の二〇において、「イーグル模型」の屋号で模型販売業を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て、売上を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、以下の各行為を行った。
第一 被告人は、平成四年分の実際総所得金額が二七〇一万一二七三円であったにもかかわらず、平成五年三月一五日、同市大国町一一一番地所在の所轄豊橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が零で、納付すべき所得税額はない旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、平成四年分の正規の所得税額九二二万五〇〇円を免れた。
第二 被告人は、平成五年分の実際総所得金額が四一二九万五六九八円であったにもかかわらず、平成六年三月一五日、前記豊橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六三〇万六二七九円の損失で、納付すべき所得税額はない旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、平成五年分の正規の所得税額一六三八万七〇〇〇円を免れた。
第三 被告人は、平成六年分の実際総所得金額が三九二一万四一四円であったにもかかわらず、平成七年三月一五日、前記豊橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五〇四万七八二九円で、これに対する所得税額が四四万三六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、平成六年分の正規の所得税額一三三一万八〇〇〇円と右申告税額との差額一二八七万四四〇〇円を免れた。
(証拠)
(括弧内の甲乙の番号は検察官請求番号を示す。)
全部の事実について
1 被告人の
(1) 公判供述
(2) 検察官調書四通(乙3ないし6)
2 吉田俊介の検察官調書二通(甲15、16)
3 吉田真の検察官調書二通(甲18、19)
4 福澤省悟の検察官調書(甲20)
5 査察官調査書五通(甲5ないし9)
第一の事実について
6 証明書(甲2)
第二の事実について
7 証明書(甲3)
第三の事実について
8 証明書(甲4)
(法令の適用)
1 罰条
各事業年度毎に
所得税法二三八条一項
2 刑種の選択
懲役刑及び罰金刑
3 併合罪の処理
懲役刑につき
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第二の罪の刑に法定の加重)
罰金刑につき
刑法四五条前段、四八条二項
4 労役場留置(罰金刑)
刑法一八条
5 懲役刑の執行猶予
刑法二五条一項
(求刑 懲役一〇か月、罰金一二〇〇万円)
(裁判官 久保豊)